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さて、本日は前回の続きです。
前回は パスタの歴史などを勉強させていただきました 。
今回はその続きで、パスタの名称なども含めてお話できればと思います。
それではいってみましょう!
(1)パスタは全部”マカロニ”説
文書として残された記録からすると、12~13世紀のパスタは全部マカロニという呼称でした。
今現在、私たちがマカロニと言っているのは、マカロニグラタンとかマカロニサラダでおなじみの、
穴が開いているショートパスタです。
僕の子供の頃も、パスタといえばスパゲッティか、マカロニでしたね。
しかし、歴史をさかのぼると穴があってもなくても、長くても短くても、
全部マカロニ (イタリア語ではマッケローニ)と呼んでいた時期がありました。
スパゲティのような長いものも、耳たぶの形のようなショートパスタも、
ペンネのような穴が開いているものも、個々に名前がつけられていたわけではなく、
詰め物パスタ以外はみんなまとめて全部マカロニと呼んでいたのです。
1600年代の始め頃に、ナポリで型から絞り出すロングパスタが作られるようになると、↓↓↓
これらはヴェルミッチェリ(スパゲティの前身の名前)と呼ばれるようになって、マカロニから独立します。
そのうち一口パスタにも名前がつき始め、ついには穴あきショートパスタだけがマカロニとして残ったというわけです。
近年、色んなレストランで見られるようになった、
イタリアのアブルッツォ州のロングパスタにキタッラがあります。
ギター状に何本もの細い弦を張った器具に、シート状のパスタ生地を押し通して作りますが、
正式名称は「マッケローニ·アッラ·キタッラ」と言います 穴がないしロングパスタなのにマッケローニというのはまさに前述の名残です。
ちなみに上が、キタッラを作る器具です。見ずらいですが、この箱にはギターの様に弦が張られています。
こんな感じです。
上の弦が張られている器具に、生地を押し当てます。
それでできるパスタは、断面が正方形になるのが特徴です。
(2)スパゲッティ登場!!!
スパゲティはロングパスタの代名詞のようなものですが、
イタリアでスパゲティの名称が使われだしたのは、1900年代前半頃です。
ですから。古代ローマ以来の歴史を考えれば、つい最近です。
それ以前はこうした細長いパスタを、ヴェルミッチェリ(vermicelli)と呼んでいました。
イタリアでヴェルミッチェリをあまり使わなくなったのは、名前の由来が良くなかったからです。
本来の意味が「ミミズ」「ウジ虫」でおよそ食べ物にふさわしくないからです。
細長いところが似てるという理由だけでつけた、昔の人の発想には驚くばかりです。
一方、スパゲティの語源は「ひも」 リグーリア州のトレネッテも「靴ひも」です。
他にも 有名なのが、リングイネの「スズメノ舌」などがあります。可愛いですね。
そして、先ほど出たヴェルミッチェリは、現代では漠然と細めのロングパスタを指したり、
南部ではスパゲティよりも一回り太いものを指したりと使い方もまちまちです。
(3)タリアテッレとフェトチーネってどう違うの(・_・?)
タリアテッレ(tagliatelle)も、フェットチーネ(fettuccine)もきしめん状の平たいロングパスタです。
この二つはほとんど同じ形状で、どこに違いがあるのかわかりにくいのが悩ましいところです。
まずタリアテッレですが、主に北イタリアでの呼び名で、6~8 mm 幅が標準サイズです。
手打ちパスタの盛んなエミリア=ロマーニャ州(首都ボローニャ)辺りのもので、小麦粉を卵で練っています。
一方フェットチーネは ローマより南での呼び名です 。
8mm~1cm幅とタリアテッレよりもやや幅広で、小麦粉を 卵で寝ることもあれば セモリナ粉を卵や水で寝ることもあるというのが違いでしょうか。
太さと材料がわずかに違っていても、用は土地によって名前が違うだけのことです。
ちなみにタリオリーニと、タリエリーニ。↑↑↑
これも地域によって呼び方が違うだけで物は同じです。
ほとんどが小麦粉を卵で練ります。
幅は2~3 mmで、タリアテッレよりも細身。
とはいえ、その境界は曖昧でどう見てもタリオリーニや、タリエリーニの細さなのに、タリアテッレと呼んでる人たちもいて、
こうなると土地ごとに違うとしか言いようがありません。
日本で人気のタヤリンもタリエリーニのピエモンテ方言です。
材料では一般にタリエリーニが全卵を使うのに対し、
タヤリンは卵黄だけで寝るのが基本なので、黄色が鮮やかでコシも強いのが特徴です。
(4)パスタのお名前紹介!!!メモの準備を。
パスタの語源を紹介ということで、いくつか代表的なものを紹介致します。
なお、写真は僕の愛読書である”プロのためのパスタ事典”(柴田書店さん)から引用させていただきました。
パスタに興味をお持ちなら絶対持っていた方が良い一冊です。
①、ピーチ(pici)
ピーチ(pici)
トスカーナ州の代表的なパスタです。
語源は「手で転がす」というappiciare(アッピチャーレ)というイタリア語の方言からきています。
僕の働いたレストランでは、”イノシンのラグー”などに合わせておりました。
②、ストロッツァプレーティ(strozzapreti)
ストゥロッツァプレーティ(strozzapreti)
エミリア=ロマーニャ州のパスタです。
語源は「首を締められた僧侶」です笑
このパスタは、僕の大恩人であるグランシェフに教えていただきました。懐かしいです。
コロナ前ですが、僕の働いてたレストランで会食があり、お客様はすでにいらっしゃてたのですが、
グランシェフに何か手打ちのパスタはないか?と聞かれて、めぼしい物がなく、
急きょパスタ練りからはじめさせていただいた思い出深いパスタです笑
僧侶の首を締めるように、パスタをねじって作るのが特徴です。
③、トロフィエ(trofie)
トロフィエ(trofie)
リグーリア州の代表的なパスタで、ペスト·ジェノベーゼとの組み合わせは有名です。
語源は「木屑(きくず)」
船上の料理人が、手についた粉を落とそうと、両手をこすって落としたものから生まれたという説が有力らしいです。
最後まで、このパスタを教えていただいたシェフからは、免許皆伝いただけなかったです汗
④、オレキエッテ(orecchiette)
オレキエッテ(orecchiette)
プーリア州の代表的なパスタ。チーマ·ディ·ラーパという葉野菜との相性抜群です。
語源は「小さい耳たぶ」
先程から出させていただいております、グランシェフがよくおっしゃておりました。
「イタリアでは、レストランの裏方に、このパスタを永遠やり続けるおばあちゃんがいたんだよ」と。
当時の僕は、そんな話しを聞かせていただき、ますますイタリア料理に興味をもっていきました。
⑤、ファルファッレ(farfalle)
ファルファッレ(farfalle)
このパスタはもう有名ですね。
生ハムとグリーンピースを入れた生クリーム系のパスタや、
春らしいクリーム系のパスタ がよく合います。
僕のいたレストランでは、サーモンのクリームソースにも使っていました。
語源は「蝶々」です。
⑥、ガルガネッリ(garganelli)
ガルガネッリ(garganelli)
エミリア=ロマーニャ州のパスタです。
語源は「気管の軟骨」
このパスタは、晩餐会で出すはずの、
カッペレッティ用の詰め物を猫に食べられて、困った宮廷料理人が即興で作ったと いうものらしいです。なるほどー。
後輩が好きで、よく作ってたな。と思い出しました。
⑦、フジッリ(fusilli)
フジッリ(fusilli)
このパスタも有名ですね。フジッリ、またはフスィリです。
語源は「糸巻き」です。
よくランチのコースで使ってました。
⑧、コルツェッティ(corzetti)
コルツェッティ(corzetti)
リグーリア州はジェノバ出身のパスタです。
語源は「クロゼッティ」
昔は、宗教行事に出されていたそうです。
このコルツェッティ、今では花がらや色々な紋様がついておりますが 、
昔は 十字架(クローチェ)の紋様をつけていたところから、 この名前の語源となりました。
⑨、ファゴッティーニ(fagottini)
ファゴッティーニ(fagottini)
このパスタは、コイシェフが大好きなパスタの中の一つです。
すごく可愛いですよね。風呂敷に詰め物してるみたいで。
春先のシェフおすすめコースの1品に、
“ホタルイカを包んだ、イカスミのファゴティーニ”という料理がスペシャリテの1つです。
語源は「小さな包み」です。
⑩、トゥベッティ(tubetti)
トゥベッティ(tubetti)
カンパーニャ州のパスタ。
よくコイシェフもスープ仕立てといった料理に使っておりました。ミネストローネとかと相性いいですね。
語源は「小さいチューブ」です。
⑪、カヴァテッリ(cavatelli)
カヴァテッリ(cavatelli)
プーリア州のパスタです。
このパスタ、指で掘るようにして作るのですが、
1本の指で生成したらどう?とか、2本の指で生成したら何て名前?とか、3本指で生成したからこれだとかありますが、
イタリアの南部一帯にあるパスタで、その土地、土地によって呼び名が違います。
- チェカルッコリ(cecaruccoli)は1本指。プーリア州、モリーゼ州
- カヴァテッリ(cavatelli)は2本指。シチリア州
- チカテッリ(cicatelli)は3本指。カンパーニャ州
と教わっていましたが、定かではないですね。
語源は「カヴァーレ」穴を掘るというイタリア語です。
⑫、ニョケッティ·サルディ(gnocchetti·sardi)
ニョッケッティ·サルディ(gnocchetti·sardi)
サルデーニャ州のパスタです。
特に有名なのが、マッロレッドゥス(malloreddus)という料理です。
サルデーニャ州南西部、カンピダーノ地方の呼び名で、
フェンネルとサルシッチャのトマト煮。
語源は「マッロル」(牡牛)の複数形、「牡牛の群れ」
牡牛の脇腹の肋骨が、このパスタの筋模様のようだ、というところです笑
コイシェフが好きなパスタの1つです。
サフランを少し効かせたこのパスタに、
フェンネルの香り、サルシッチャの旨味。トマトソースが絡んでとても味わい深い1品です。( ゚ε゚;)ゴクリ
⑬、タッコッツェ(taccozze)
タッコッツェ(taccozze)
アブルッツォ州周辺のパスタです。
昔、僕のいたレストランでは、魚介類とフレッシュトマトのソースで合わせてました。
語源は「ぼろ切れ」や「つぎはぎ」です。
(まとめ)
前回からパスタについて話してきましたが、正直まだまだ伝えたいことはたくさんあります。
僕がお世話になりました、グランシェフ、尊敬する先輩シェフから教えていただいたことを発信していきます。
お客様が100人いらっしゃったら、98人刺さらない伝統的メニューも、
2人に深く刺さるのなら、やるべきだ!ということも今はよくわかります。
料理を通じて、イタリアの歴史や文化(僕の経験なんて限界あるので、勉強しています)もお伝えできれば嬉しく思います。
次回もパスタのご紹介と、経験談をお伝えできればと思います。
ciao! arrivederci! バイバイ(^^)v
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