こんばんは!コイシェフです。Benvenuti!
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本日は日本人とイタリア人の食文化の違いに少し触れてみようかと思います。
あなたは朝ごはんはパン派ですか?ご飯派ですか?
僕はどちらかと言うとパン派です。
最近は遅めの朝食にパンとサラダ、そして早めの夕食にご飯という食生活です。
ではイタリア人はどうでしょうか?
根本的に僕たち日本人とは違います。順を追ってお話しいたします。
(1)イタリア人の朝食、昼食、夕食
日本人は食パターンも様々。
食べるものも世界各国の料理です。ラーメンだったり、ハンバーグだったり、スパゲティだったり。
ですが、イタリア人は基本的にイタリア料理です。
朝はカフェラテか、カプチーノ、それに甘いもの。
スフォイラテッラだったり、ババ、パスティエラ(ドルチェ編をお待ちください)だったり。
日本人からすると朝からがっつりデザート?朝はお漬物食べたいとかあるかもしれませんね。
昼はパスタが多く、もう1品加えるとしたら野菜ものやチーズ。
夜はパスタかスープに肉や魚のセコンドがつきます。
セコンドらしいものがない時はサラミ類で対応することもあります。
あとは野菜料理やチーズ、そしていずれもパンとワインが セットでつきます。
イタリアでは、夜ちょっと飲もうとBar(バール)にいったりしてお酒を注文すると、セットといえばいいのか?
ハム類やパンやチーズなどが普通に付いてきます。
それもなかなかにたっぷりと笑
小食な方であればこれだけで夜の食事も完結してしまうくらいです。コイシェフもびっくりしました! ( ̄□ ̄;)↓↓↓
イタリア人が外食する際には、フレンチでも和食でもありません、普段食べ慣れたイタリア料理を食べに行きます。
イタリア人は自分の国の料理に誇りを持っています。
突き詰めれば、うちのマンマの料理が世界一という思いが根底にあって、
特に男性はそういうタイプの人が多数です。
週末には家族と一緒にマンマの手料理を味わうのがお決まりのコースです。
と言っても決してマザコンというわけではなく、イタリアでは料理を通じて家族の輪がちゃんと保たれているということの表れなのだと思います。
(2)日本人の好きな食感とイタリア人が好きな食感の違い
日本人とイタリア人の嗜好の違いを感じさせるものの一つが、「どろっ」、「べちゃ」という食感に対する考え方です。
日本人は一般に食感に敏感と言われています。
「トロトロ」だとか「ふわふわ」だとか「もちもち」「シャキシャキ」「サクサク」「カリカリ」と変化に富んだ食感を好み、料理でもそれぞれを明確に表します。
ですから、イタリア人がサクサクのクッキーを、カプチーノやカフェラテに浸して食べたり、
カリカリの固いカントゥッチーニ(ビスコッティ)をヴィンサント(トスカーナ産甘口白ワイン)に浸して食べたりという光景を見ると、
せっかくのサクサク、カリカリがもったいないと思ってしまうのです。
日本人は飲み物とパンや、ビスコッティがあれば、交互に食べてサクサクやカリカリの食感をしっかり楽しみますが、
イタリア人はべちゃっとさせて食べるのが好みなんです。
理由は消化がいい、口の中がモソモソしなくて食べやすい、喉通りがいいのでたくさん食べれる、ということのようです。
イタリアには、料理でもパンを水分に湿らせてべちゃっとさせて食べるものはたくさんあります 。
例えば、ズッパディペッシェ(Zuppa di pesce)は代表的なものでパンは必須です。
焼いたパンが一緒に提供され、最後は必ずスープを吸わせていただきます。
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それから、トスカーナ州でも固くなったパンを水や酢で戻して生野菜と混ぜたパンツァネッラ(Panzanella)というサラダもあります。↓↓↓
プーリア州やカンパーニャ州ではフリゼッレ(Friselle)という乾パンを水で浸して、サラダに入れたりします。
プーリア州の漁師が、このフリゼッレを持って、漁に行くそうです。
お昼になると、フリゼッレを海水に浸して食べていたという話を聞いたことがあります。本当かな?
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昔、イタリアでは各広場には大きな釜があったそうです 。
その釜で、住人たちが一週間分のパンを焼いたそうです。
住民は何日もかけてそのパンを食べていましたから、最後は水分が抜けてカチカチに固くなったそうです。
それを最後まで美味しく食べる工夫が各地に残っているのです。
というのも、イタリアは昔、戦争や疫病等様々な理由で貧困にあえぐ地域が多かったので、
釜に薪(まき)をくべる費用を最小限にしていたのです。
今もイタリアに残る地方料理にはこういった住民の努力やその地方での工夫という要素が多分にあります 。
(3)日本のお粥と、イタリアのリーゾ·イン·ビアンコ
風邪をひいたり、胃の調子が悪い時、私たち日本人はあっさりしたお粥を食べて胃を休ませます。
こんな時、イタリア人だったら何を食べるのかと言うと、米を水で茹でた「リーゾ·イン·ビアンコ」です。
消化が良くて口当たりもいい、スルスルっと入るものを好むものは同じですね。
でもさすがイタリア人、味付けは粉末の チーズとオリーブオイルと塩。
日本人は体調の悪い時にはおおよそ口にできないものばかりですが、
イタリア人にとっては小さい頃から食べられた基本の調味料ですから 一番ほっとする味なんでしょう。
ここで使う米は、リゾット用ではなくスープ用とかサラダ用として売られている、粒が小さくてデンプン質の多いタイプ。
水分の吸収も良いのでやわらかく煮あがります。
僕もレストランで勤めていた時、たまにこうした光景は見かけるものでした 。
イタリア人のお客様がいらっしゃって「今日はお腹の調子があまり良くないからお米を茹でただけでいいや」とか、
あとは、「子供に食べさせるので、パスタを茹でてオイルと塩だけで願いします」とか。
お子様に食べさせるのはともかく、お腹の調子が良くないなら家でお粥を食べていた方が良いのでは?
など考えてしまいますがそうではないのですね。
それほどレストランというものが彼らにとって日常的なのです。
ですので、イタリア人はランチ、ディナーと同じお気に入りのレストランに来ることもあります。
ランチでパスタやピッツァセットを食べて、エスプレッソを飲んで仕事に戻る。
仕事が終わるとディナーできちんと前菜から、またはコースで注文される。
人によっては週に何回もこうして通ってくださるのです。
日本で働くイタリア人は、マンマの味が恋しくとも故郷の味や雰囲気を求めお気に入りのレストランに足を運んでくれるのかもしれません。
少々脱線しましたね。
ところで、今ではイタリアを代表するパンとして世界中に広まったグリッシーニも、
もとは胃が弱かったイタリアの貴族の子供のために作られたと言われています。
通常のパンは、天然酵母やイーストで発酵させて作りますが、
発酵させるのは消化が良くないと考えたようで、小麦粉とオリーブオイルだけで練って焼いたものが始まりです。
ピエモンテ州トリノが発祥の地で、かのナポレオンも「小さなトリノの棒」と呼んで好んだそうです。
(4)日本のイタリアン=にんにく臭
今でこそ、ニンニクを使わないイタリア料理があることも知られるようになりましたが 、
一昔前はニンニクを使ってこそイタリア料理だという誤解が日本にはありました。
ニンニクを使うことの多いローマやナポリなど、中南部イタリアの料理が最初に日本に広まったことがそもそもの要因です 。
そこで「ニンニク=イタリアン」のイメージが作られ、 くわえて、日本人の多くがニンニクが好きだった事がイタリア以上に、
ニンニク臭溢れる料理を生み出してしまったのだと思います。
僕たちレストランの料理人も、味や香りのインパクトの弱い素材を調理する時に、つい、ニンニクの強い香りでカバーしようと、使い過ぎた面もあるようです。
さらにイタリアと日本ではニンニクの風味の質が違います。
イタリアのにんにくは、味も香りもまろやかで、しかも小粒。
同じように1片を使うと、日本のにんにくでは強い風味がますます強調されてしまう。
またイタリアでは塊を潰すかスライスして使うのがほとんどで、
あくまでほのかな香りを楽しみますが、日本ではみじん切りで使う人が結構多いんです。
細かく切るほどニンニクは強く香りたってきますから要注意です。
もしみじん切りでアーリオ·オーリオのスパゲティを作るなら、一人分は、耳かき一杯が限界。
薄切りなら3枚で十分です。
(まとめ)
今回の記事で、日本で働くイタリア人というフレーズがありましたね。
これはイタリア人に関わらず、日本で働く外国の方々も同じです。
昔、今でも尊敬するシェフが 、一緒に働く外国の方にとても親身になって話しかけたり、話を聞いてあげたりしていました。
休憩中もいつもなら真っ先に横になるのに、外国の方がシフトに入ってる時はずっと話しかけていました。
僕はシェフに、「どうして日本語もカタコトの外国の方にそんなに親身になって会話されているのですか?」と聞きました。
するとシェフは、「彼らは日本語が上手じゃないから話さないけど、本当は話したいんだよ」
「自分の日本語が通じているのかを知りたいんだよ 」
「例えばね、お前(コイシェフ)が、イタリアのレストランで働くことになったらどうだ ?」
「片言のイタリア語しかわからず、休憩中ポツンとイタリア語辞書を片手に勉強をしていたらどう思う?」
「もっと話したいと思うんじゃないか?」
「会話のキャッチボールしたいと思わないか ?」
「海外で働く外国人は様々な事情があるにせよ、俺(尊敬するシェフ)はすごいと思っている」
「外国から人を受け入れることの方が多い島国の日本人には分かりづらいことかもしれないけどな 」と。
僕はその時、このシェフかっこいい!と思ったのです。
こんな大きなシェフになりたい!と。
この尊敬するシェフとは、今でもご飯を一緒に行かせていただいたりしています。
ciao!arrivederci!バイバイ(^^)v
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