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いよいよ、地方料理編も掘り下げて学んでいきますね。

途中、コイシェフが「これ書きたい!」ということがありましたら、挟むこともあるかもしれませんが、ご容赦ください。では始めましょう!

北部イタリアの地図です(一部中部)

こうしてブログを書き始めて思うのが、よくこんなに料理の本を集めたなあと。

コイシェフも本屋や図書館には行きますが、ほとんどの資料は自分の家の本棚からです。

その本棚をひっくり返していたら、随分古い資料が出てきました。

朝日新聞社様の”朝日百科”という雑誌です。

地方料理や文化のことを本当に深く掘り下げた素晴らしい物で、参考にさせていただきます。

(1)魅力溢れる北イタリアの料理

今はもうそんな風潮も少ないと思いますが、

昔は北イタリアの人々は南イタリアの人々を「テッローニ(百姓)」と呼んで軽蔑し、

南イタリアの人々は北イタリアの人々のことを「ポレントーニ(ポレンタ食い)」と呼んで蔑んでいました。

つまりポレンタは北部を代表する食べ物だったのです。

確かに昔一緒に働いていたイタリア人マネージャーは南イタリア出身でしたが、

アルバイトの北イタリア出身の人をあまり良く思ってない言動が見て取れました。

話を戻しましょう。

ミラノ郊外の街並み

ポレンタとは、弱火にかけた鍋の中で、トウモロコシの粉を練り上げたもので、

練るのに長い時間と力を要したとこから、一家の主人の仕事とされていた。

練り上げられて湯気を立てる黄色のポレンタは、調理台の上で平らに伸ばされてパンの代わりに食べられた。

食生活の向上した今でこそポレンタは、野鳥やうさぎなどの煮込み料理や、ソーセージ料理などの付け合わせ用になってしまったが、

昔は北イタリアの貧しい人たちの主食だったのである。

食事で余ったポレンタを短冊形に切ってオリーブ油で揚げたものは、どこか揚げおかきを思わせる味の美味しいものである。

①、北イタリアを代表するピエモンテ州、ロンバルディア州

アオスタ渓谷から

北イタリア最北とされるアオスタ渓谷地方だが、標高2000m級の山々があり、農作物に乏しく、渓流で捕れるマスの料理や、

先ほども書いたポレンタ以外には特に代表的なものがありません。

しかし、ピエモンテ州、ロンバルディア州には料理も注目すべきものが揃っています。

土地柄に寒く、閑散としているイメージの北イタリアですが、

この両州にいたっては、自動車工場のトリノや、イタリア産業の中心都市ミラノがあり、最も経済的に恵まれた地方だからです。

トリノの自動車工場

農作物、畜産物やワインの銘酒にも恵まれていますから、当然料理も発達しました。

1、パスタ料理

パスタ料理といえばタヤリン

アルバ地方付近の白トリュフをかけてバターソースでいただく料理は有名であり至高です。

パスタ、特に麺類文化はもともとが南イタリアが発祥なので、近年考えた料理なのかもしれませんね。

あとはピエモンテ州のアニョロッティですね。

いづれもトリュフをかけていただけば、それは至高なものとなり、北イタリアの パスタからは切り離せないものです。

2、米料理

次に特筆すべきは米料理です。

この両州には、イタリア最大の米作地を抱えています。

中でも有名なのがピエモンテのノヴァーラ地方の名物米料理パニッシャ(paniscia)、

“朝日百科”からパニッシャ

それからミラノといえばサフランを使ったミラノ風リゾットです。

ミラノ風リゾットはこのままでも、または他の料理の付け合わせとして用いられることもあります。

代表的なのは、仔牛のスネを骨ごとぶつ切りにした、豪快な煮込み料理であるオッソブーコ(ossobuco)。

骨の中のゼラチン質の髄のエキスと一緒に食べると最高です。

オッソブーコとミラノ風リゾット

3、肉料理

他にも肉料理では銘酒バローロを使って、牛もも肉を煮込んだ料理や、

豚の足、豚皮、ソーセージ、その他雑肉を人参、セロリ、キャベツなどとトマトを入れて煮込んだカッスーラ(cassula)など。

“朝日百科”からカッスーラ

いずれもポレンタとよく合う煮込み料理です。

それからミラノ風仔牛のカツレツ(costoletta alla milanese)があまりにも有名。

“人気のイタリアン”からコストレッタ

まだあります。仔牛肉のツナソースがけ(vitello tonnato)はミラノ発祥の料理だが、今はイタリア全般の料理とされています。

鶏料理でその起源の面白い資料がありました。

マレンゴ風鶏の蒸し煮(pollo alla Marengo)

“朝日百科”から、マレンゴ風鶏の蒸し煮

1800年6月中頃、ナポレオンがイタリア制覇のためロンバルディア平原に入りマレンゴでオーストリア軍を撃破した日のことである。

戦いに疲れたナポレオンは、参謀たちを引き連れ一軒の居酒屋に入りました。

女主人はちょうど鶏を丸焼きにしていたところだったが、ナポレオンはローストチキンが嫌いだと聞かされて慌てたそうです。

とっさにそれを鍋に入れて出し汁を注いでありあわせの野菜と一緒に蒸し煮を作ったのです。

現在は白ワインを入れたりブランデーを入れたりするそうですが、もとをただせばナポレオン用野戦料理だったというお話です。

内臓料理もミラノ風牛の胃袋の煮込み(trippa alla milanese) は有名です。

4、その他の料理達

“朝日百科”から、エスカルゴの香味煮

それからイタリア料理がイタ飯と呼ばれていた時代。

カタツムリが食卓に出てきて驚いたものです。

ミラノ風エスカルゴの香味煮(lumache alla milanese)

元々日本に入ってきたイタリア料理は、北部のものが初めだったと思います。

フレンチからビストロ、イタ飯と続くのでしょうか。

現在では日本中に北も南もイタリア料理が浸透していますが、そう考えるとおもしろいですよね。

このエスカルゴ料理も北イタリアではよく食べられるもので、少し独特な匂いがあるので、香味野菜と一緒に煮込みます。

それからカエルも食用にされています。食感は鶏肉のようです。

まだまだあります。

テーブルの上で火にかけた土鍋を囲んで、生野菜を食べるバーニャカウダ(bagna cauda)もピエモンテ州の代表格です。

“朝日百科”から、バーニャカウダ

土鍋にはオリーヴ油とバターで煮立たせ、この中にニンニク、アンチョビを入れて油に味をつけ、

各人が食卓を囲んでピーマンやセロリといった生野菜を浸して食べる名物料理です。

②、ペスト·ジェノベーゼの故郷リグーリア州

イタリア第一の港を持つジェノバは、

大量のバジリコに松の実を加えてすりつぶし、チーズをたくさん入れ、オリーヴ油で練った緑色のソース、ペスト·ジェノベーゼで知られる。

このソースはやはり町の名物パスタであるトレネッテにかけて食べるのが本来の形である 。

“人気のイタリアン”からペスト·ジェノベーゼ

1、魚料理

魚料理としてはかつての海洋共和国の栄光を残しているカッポン·マーグロ(cappon magro)

今ではレストランで見かけることが少なくなってきたが、海と山の幸を盛り込んだ豪華な皿で、

その日捕れた新鮮な魚介類とカリフラワー、インゲン、人参、セロリ、キノコなどの野菜が主な材料です。

パセリ、ケッパー、アンチョビなどを混ぜた酢のきいたソースをかけて提供する何とも豪快な料理です。

元は宮廷料理だったという話です。

それから、海洋王国で新鮮な魚が捕れる町なのに、なぜか干し鱈(バッカラbaccala)や、棒鱈(ストッカフィッソstoccafisso)がよく食べられることも面白い。

ピエモンテ州の人々と並ぶ節約家として知られるジェノヴァの人だけに、安い棒鱈の料理を発達させたのだという説もある。

いずれも水につけて柔らかくしてから調理します。

鱈を水で戻してから、にんにく、アンチョビ、オリーブオイルでペーストになるまでゆっくり煮込み、

ポレンタにのせて食べるバッカラマンテカートは有名です。

(まとめ)

今まで地方料理の専門店で働いてきて当たり前のように料理に携わってきましたが、

こうして改めて紐解いていくとイタリア料理はその地方、地方の特産物だったり、伝統だったりという色が本当に強い。

だからこそ面白い。

この記事を読んでくださる方も、いま自分の働くレストランのその料理が、

こういう歴史や背景があるのだと分かると、興味も2倍3倍になるのではないだろうか?

コイシェフ

ciao! arrivederci! バイバイ(^^)v

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